au WALLETの嘘: クレジットチャージに気をつけろ

auが5月から始めた新しいポイントシステム、au WALLET。この仕組みは、ポイントと電子マネー、クレジットカードのいいとこ取りのような仕組みがあるという点で、auにとって販売促進のための強力なツールになっているようである。

au WALLET | au - Mozilla Firefox_005実はこのau WALLETは、マスターカードが運営するウェブマネーの仕組みを使っている。これは、マスターカードのクレジットカードにひも付けされた電子マネーで(ひも付けしなくても、単体でもマスターカードとして運用ができる)、それにポイントなどau向けのカスタマイズを施した形になっているようである。

いちいちチャージするのに、auショップを探し回ったり現金を引き出してくるような手間をかけたくない私としては、チャージ方法として、

  • auかんたん決済
  • クレジットカードチャージ
  • じぶん銀行口座からのチャージ

のどれかを選ぶことになる。ところが、auかんたん決済の場合には引き落とし方が口座振替か特定のクレジットカードということになり、条件から外れる。
また、じぶん銀行には口座を持っていない。
新たに口座やクレジットカードを持つのがいやな私としては、現行のカードでの運用をいろいろ考えた。現在、VISAとJCBのカードを使用しているので、作戦として、ハウスカードとなっているクレジットカードをマスターカードに「昇格」させて、ここからチャージさせる作戦をとろうと考えたのである。

ハウスカードは日産カードである。

トップページ - 日産カード - Mozilla Firefox_006ここでハウスカードをVISA・マスターなどに切り替えると、UCカードとしても使えるようになる。
au WALLETの利用条件としては、サイトにはチャージは「すべてのMasterCard」で可能と書かれているので、当然のことながら、ここからのチャージが可能になるというわけである。もちろん、すでに持っている2つのカードがアウトになったときのサブカードとしても使える。 カードへのチャージ(入金)方法 | ご利用ガイド | au WALLET - Mozilla Firefox_007範囲を選択_008さて、その作戦のもとにハウスカードからマスターカードへの切り替えを実行、2週間ほどしてようやくカードが到着した。
早速カード番号を登録しチャージを行う。そうすると、「本人認証サービスへの登録が必要です」と表示される。
この本人認証サービスというのは、ネット決済などにおいて、カード番号やCVコード(カードの裏、署名欄にある3桁の数字)、有効期限、暗証番号での決済ではなく、あらかじめ本人として登録した認証コード(要はパスワードである)を入力することで、本人であることを再確認するものである。このシステムがあると、例えば拾ったカードをネットで使おうとしても、この認証コード(パスワード)が知られていない限り決済はできない。非常にセキュリティの高いサービスである。たいていのクレジットカード会社は、このサービスを提供している。

今回の場合、日産カード(マスター)はUCカードでもあるので、UCカードが提供する本人認証サービスであるアットユーネットを利用してまずカード番号を登録し、パスワードを設定することで認証設定が完了する。

アットユーネットとは?|クレジットカードはUCカード - Mozilla Firefox_009ところが、何回行っても認証は成功せず、そのたびに「UCカードお客様センターへ電話してください」と表示される。しかもまたこれがフリーダイヤルではないというおまけ付きだ。

仕方がない。翌日営業時間にそのお客様センターへ電話をかけてみると、どうやらカードが本人認証サービスに対応していないということで、詳細については日産カードに問い合わせろということだった。
そこで今度は、日産カードのサポートデスクに電話(こちらにはフリーダイヤルが存在した)。状況を聞いてみると、本人認証サービスを提供していないということであった。

つまり、

マスターカードであるにも関わらず、(本人認証サービスを提供していないカード会社が発行したカードは)au WALLETにチャージすることができない

という大きな落とし穴が存在していたのである。
もちろん、上の画像にある、「すべてのMasterCard」というのは嘘、虚偽表示ということになる。

早速auのサポートセンターにこの点を問いただしたところ、事実を認めた上で早急なページの修正と、クレジットカードチャージの改善を行う旨、回答をもらっている。
私のような犠牲者が出ないためにも、大至急のレベルでの修正・告知を行って欲しい。
さて、auではクレジットカードチャージの改善を行うと言ってはいるが、この本人認証サービス、よくみると元のウェブマネー側がそれを要求しているので、au単体で対応することかなり難しいだろう。

電子マネーWebMoney(ウェブマネー) - クレジットカードを利用した購入方法 - Mozilla Firefox_010 範囲を選択_011だいたい、まさかau WALLETのチャージのためにウェブマネーのページまでわざわざ調べに来るという人はいないだろう。私も今回の問題が起きたので改めて調べてみたわけである。

となると最大の問題は、日産カードが本人認証サービスに対応していないということになる。この点、対応を尋ねてみると「お客様からのご要望が多い場合には…」というなんとも頼りない答だった。

日産カードはハウスカードなら年会費無料だが、VISA・マスターに切り替えると1250円の年会費がかかる。不適切、不十分な情報提供のため、1250円の年会費と、カード切り替えに費やした余計な時間を浪費してしまったことになる。まったくもって腹立たしい限りである。
※ただし、日産カードの場合、年会費は初年度は無料ということである。解約の場合、契約月から1年以内であれば年会費はかからないとのこと。

さて、どうするか。
カードの枚数をむやみに増やさないというポリシーを貫くのであれば、使えない日産カードを即時解約して、その代わりに別のマスターカードを契約するのが最良のパターンとなる。もっとも、一応は「いちるの望み」を託す形で、日産カード(日産フィナンシャルサービス)が本人認証サービスを行うのを待つか、au側が本人認証コード以外の形でのチャージを行えるようにするのを待つか、どちらを待ってみることにしたいと思っている。
ただそうなると、いちいちauショップへ行って現金(そう、auショップでのチャージもクレジットカード対応ではないのだ)を持ち出す必要がある。auショップに行く前に銀行でお金をおろして電子マネーを使うという極めて前時代的な対応が必要になるのである。だからといってauが誘導しようとしているUCやじぶん銀行に屈したくはない。
しばらくはau WALLETに多めにチャージしておくようにする自衛策が必要なようだ。

それにしてもこれだけネット決済でクレジットカードを使う時代において、未だに本人認証サービスに対応していないという日産カード、会社としてセキュリティをどう考えているのだろうか。日産グループ全体に疑念を持たざるを得なくなってくる。
これでは個人的に日産車も解約したくなってきてしまう。

※ブラウザのスナップショットはいずれも2014年7月4日午後7時前後のもの。
※この状況でもう1つ考えられる作戦としては、au携帯電話の引き落とし口座を日産カード(マスターカード)の口座にするという手がある。幸い、UCカードでもあるので、auかんたん決済での対象カードにもなっている。ただ、今回の一件があると、UCカードであるといえど日産カードへの不信感は大きい。うまくいくかどうか試してみないとわからないというのは個人的には怖いし、もうこれ以上手間をかけたくないというのが正直なところだ。また、チャージ額に限度があるというのもいただけない。