第7章 ユーティリティ・プログラム

MQLIBの性能テスト、及び簡単な月震データの処理を行なうために、いくつかのユーティリティプログラムが配布パッケージに添付されている。ここではこれらの利用方法について説明する。
なお、これらのプログラムのインストール方法については、付録の
「ライブラリのインストール」に述べられている。

7.1 makedb(月震データベース構築コマンド)

makedbは、アポロ月震データファイルからMQLIB用のデータファイルを生成するためのシェルスクリプトである。このシェルスクリプトからは、次の2つのプログラムが起動される。
dbconv
アポロ月震データファイルを読み込み、MQLIB用データファイルに変換する。また、データファイル内のデータ開始時刻等を一覧表示することもできる。
reformdb
月震データファイルを整形し、ヘッダを付加する。
dbconvreformdb共に、単独で実行することも可能である。

7.2 dbconv(アポロ月震データファイル読み込みユーティリティ)

dbconvは、アポロ月震データファイルを読み込み、必要な情報をヘッダ化し、MQLIB用データファイルを生成する。 コマンドの形式は次の通りである。
dbconv [ -tlsnvV ] filename [ startrec ] [ endrec ]

ここで、startrecはデータ読み込みを開始するレコード番号、endrecはデータ読み込みを終了するレコード番号で、指定がなければファイル全体を読み込む。なお、startrecendrecを指定する際には、必ず両方を指定する必要がある。片方だけを指定するとエラーとなる。
オプションについては次の通りである。これらは複数指定することが可能である。
t
潮汐データのみを出力する。
l
長周期データのみを出力する。
s
短周期データのみを出力する。
n
いずれのデータも出力しない。これは、後述するvオプションと組み合わせ、月震のヘッダデータ一覧表を出力するために利用する。
v
冗長(verbose)モード。このオプションが指定されると、指定されたパラメータ、及び、読み込んだヘッダの情報を一覧表の形で出力する。出力されるヘッダの情報は、レコード番号、PSEナンバー、オリジナルのテープ番号、レコードの先頭の日付、フォーマット、前のレコードとの時間差である。前のレコードとの時間差が1.0秒以上ある場合には、dbconvはレコードの区切りとみなし、セパレータを出力する。
V
超冗長(very verbose)モード。冗長モードに加え、生成された一時ファ イル名なども出力する。これはデバッグ用であり、通常はvを指定する。

7.3 reformdb(月震データベースファイル整形ユーティリティ)

reformdbは、月震データベースファイルにヘッダを付加するためのプログラムである。

7.4 mqsac(SACフォーマット変換ユーティリティ)

mqsacは、MQDBフォーマットのデータファイルを、汎用のシグナル解析ユーティリティ、SAC (Seismic Analyze Code) で読みだし可能なフォーマットに変換するプログラムである。実行形式は次の通りである。
mqsac mqdb-file sac-file

ここで、mqdb-fileはMQDBフォーマットのファイル名、sac-fileはSACフォーマットのファイル名である。なお、現在のところ変換の方式はMQDBファイルからSAC フォーマットのファイルへの変換のみで、逆はできない。

7.5 wmas(画面表示ユーティリティ)

wmas (WaveMaster) は、月震データベースファイルを X Window System サー バが稼働しているマシンの端末画面上に表示するコマンドである。

7.6 wpr(プリンタ出力ユーティリティ)

wprは、月震データベースファイルをプリンタに出力するためのコマンドである。このプログラムは月震データベースファイルを読み込み、これをプリンタ制御言語に変換して、標準出力に出力する。変換できるプリンタ言語は、現在のところLIPSII+のみである。出力の際には、振幅、時間のスケールを自由に指定することが可能である。
プリンタ制御言語は標準出力に出力されるので、プリンタに直接出力する場合には、以下のようなコマンドを入力しなければならない。

wpr 69233121.lp | lp -d lp

これは、69233121.lpという月震データベースファイルをlpと名付けられたプリンタに出力するための命令である。
このコマンドのオプションは次の通りである。
-v, -verbose
冗長モード。プログラムは標準エラー出力に、簡単なメッセージを出力する。
-V, -Verbose
超冗長モード。プログラムは標準エラー出力にデバッグ用のメッセージを出力する。ほとんどが診断情報なので、デバッグの場合以外はできれば指定しない方がよい。
-help
ヘルプメッセージ出力。簡単なヘルプメッセージを出力して、プログラムは終了する。
-page N
出力ページ指定。Nは出力したいページの番号である。このオプションを利用すると、特定のページ部分だけを出力することができる。
-a, -ampscale amp
振幅スケールを指定する。この振幅スケールは、1チャンネルの地震波形を描くウィンドウの半分の高さになる。従って、-ampscale 10.0と指定した場合には、振幅スケールは10.0(単位はファイル内で使用されている数値に従う)で描かれ、高さ20.0のウィンドウに規格化された波形が描かれることになる。
-t, -timescale time
時間スケールを指定する。timeは1ページあたりの出力時間の長さを秒単位で指定した数値である。-timescale 3600.0と指定した場合には、1ページあたり1時間になるように、データを適当にサンプリングして出力する。

7.7 wm2mq(WM1フォーマットからMQDBフォーマットへの変換)

本プログラムは、WaveMaster 1.xx用の地震波形記述用フォーマットで記述されたデータファイルを、MQDBフォーマットのファイルに変換するプログラムである。
WaveMaster 1.xxにおいては、地震波データは2つのファイルに分かれて記述される。.wmasファイルは、実際の地震波データが格納されているファイルであり、チャンネル毎に各成分がコンマで区切られた形で並んでいる。.infoファイルは地震波についての情報を記述したファイルであり、内容は任意である。本プログラムは、.infoファイル内の情報は利用していない。
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