第4章 データ部仕様

 データ部分は、実際の月震データが格納されている部分である。この部分については、現在3つの形式が定義されている。本章では、月震データファイルにおける、月震データ部分の仕様について述べる。

4.1 フルテキスト形式

 フルテキスト形式(full text format)では、数値はコンマで区切られたASCII文字列として表現される。行末文字で終了する1行(第2.2節参照)がデータの構成単位となる。従って、1行のデータが同時刻に得られた各成分を表す。

121.398420,483.000000,483.000000

 フルテキスト形式の場合、データ部分を構成する文字については、以下の文字が許される。
  1. 数字。0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9である。
  2. コンマ(,)。データの区切りを表す。
  3. マイナス記号(-)。負数を表現するために用いられる。
  4. 指数表現を表す英文字 E または e
 フルテキスト形式はバイナリ混在形式、XDR形式と比べて、入出力に数倍の時間がかかり、ファイルサイズも大きくなる傾向があるため、できるだけバイナリ混在形式、またはXDR形式(できればXDR形式)を利用する方が望ましい。フルテキスト形式は、例えばテキスト処理ソフトウェアでデータ処理を行なう場合などに限って利用するべきである。

4.2 バイナリ混在形式

 バイナリ混在形式(composite format)では、数値は8バイトのIEEE倍精度浮動小数点フォーマットで出力される。データの格納順序は先頭から若いチャンネル番号の順となり、上記のフルテキスト形式と異なる。例えばデータ個数が30000個あり、チャンネル数が3の場合には、
  • 1〜10000番目の変数がチャンネル 1 の内容
  • 10001〜20000番目の変数がチャンネル 2 の内容
  • 20001〜30000番目の変数がチャンネル 3 の内容
  • となる。  バイナリ混在形式は、コンピュータ内部で使用されている浮動小数点の表現形式でそのままファイルへ出力するものである。従って、処理速度は高速であるが、半面、異なるバイトオーダを持つコンピュータ・システム間でのデータのやりとりにこのフォーマットを用いると、誤った数値データの受渡しを行なうことになる。バイナリ混在形式は、処理結果の一時的な出力など、同一のコンピュータ・システムでのデータファイルの利用が保証されている環境下で利用することが望ましい。

    4.3 XDR形式

     XDR形式(XDR format)では、数値はバイナリ混在形式と同様、8バイトのIEEE倍精度浮動小数点フォーマットで出力される。但し、数値はXDRライブラリによって、ネットワークバイトオーダ("Big-endian")に揃えて出力される。
     XDRライブラリが利用されている点を除けば、データの格納順序、浮動小数点フォーマットなどは全て上記のバイナリ混在形式と同じである。特に、Big-endianのCPUを採用しているコンピュータ・システム(680x0系、SPARC系、IBM 370系)においては、本形式とバイナリ混在形式は事実上同一となる。
     但し、異なるバイトオーダを持つコンピュータ間でのデータ交換が行なわれる可能性を考え、MQDBファイルフォーマットを利用する際には、今後はXDR形式を採用することが望ましい。バイナリ混在形式と異なり、このフォーマットの場合にはコンピュータ間でのデータの受渡しの誤りは発生しない。
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